ハリネズミの病気について
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ハリネズミは大きさのわりには長命の生き物です。ペットショップ産、ブリーダー産と産まれによって寿命はかわりますが、だいたい3〜5年は生きます。その年月の間に何度も体調を崩しますし、その時の処置でその後の健康度にも影響していきます。
小さく臆病なハリネズミたちはちょっとした怪我でも命の危険に直結します。縁あって家族へと迎えたハリネズミです。少しでも長く幸せな生活を暮らしてくれるようにしましょう。
目次
病気について
適切な飼育をしていれば若いうちはとても元気
室温・湿度、栄養、そして衛生面に気をつけていれば3〜4歳くらいまではほとんど病気になる機会はありません。
ハリネズミの年齢が低い頃は病気よりも怪我の危険性が非常に高くなっています。4歳以降にもなればかなり大人しくなりますが、若い頃は壊れたラジコンのように動き回ります。回し車の網に爪を引っ掛けたり、高所からの落下などに注意してあげましょう。
遺伝で特定の病気になりやすい
親の弱い部分を受け継いでいる場合があります。腫瘍ができやすかったり、消化器官が弱かったりと目に見えない疾患をかかえているハリネズミが生まれます。これは初めて飼い始めたハリネズミだと発見は困難です。2世以降を誕生させた場合は気をつけてあげることが可能です。
重要なのは、遺伝的に弱い部分は飼い主の責任ではないということ。無理のない範囲でハリネズミにとって良かれと思う対応を心がけましょう。
我が家のハリネズミも腫瘍ができる体質でしたが、それでも5年以上生きることができました。疾患があるからと言って短命であるとは限りません。
4歳辺りから身体が弱り始める
運動機能が低下し、食が細くなり始めます。目は濁りはじめ白内障を患います。基本的に寝ることが多くじっとする生き物なので気づきにくいかもしれませんが、だいたい4歳をすぎる頃からは体調面に気をつけてあげましょう。
健康チェック
毎日ハリネズミの容姿を眺めて健康チェックを行いましょう。いつもと違う…と早期に気づけるのは大事なことです。
- 目
- 目やに、涙が出ていないか
- 目が飛び出していないか
- 濁りが発生していないか
- 耳
- 垢っぽい汚れがないか
- ギザギザになっていないか
- 鼻
- くしゃみをしていないか
- 鼻水はでていないか
- 乾燥していないか
- 口
- よだれを垂らしていないか
- 腫れていないか
- 歯が少なくなっていないか
- 食べかすが詰まっていないか
- 食欲や食べ方
- 食べ残しがないか
- 好きな食べ物を拒否していないか
- 食べる時に痛そうにしていないか
- 柔らかいものを好むようになっていないか
- 水の消費量が変わっていないか
- 体重
- 急激な増減がないか
- 成長期の場合は体重が増えて正解
- メスで体重が増えた場合、お尻の上が膨らんでいれば妊娠の可能性
- 皮膚
- フケが出ていないか
- 腫れや傷はないか
- 皮下にしこりがないか
- 針
- 特定の場所の針が多く抜けてはげていないか
- 指や爪
- 指が折れていないか(1〜2本折れても支障はないが、爪のメンテナンス不足の可能性がある)
- 爪の状態は適切か
- なにか細いものが絡んでいないか
- 噛み切っていないか(麻痺している場合に自傷する)
- 陰部
- 腫れや出血がないか
- うんちや床材などが固まってついていないか
- 頻繁になめていないか(オスは陰茎を頻繁に舐めるので放おって置こう)
- 行動
- ふらふら
- うんち
代表的な病気
ハリネズミのなりやすい病気を知っておきましょう。
病名 | 概要 |
---|---|
てんかん | ガクガクと身体を揺らします。個体によっては頻繁に発症しますが暫く経つと元気にもどります |
ふらつき症候群 | 神経麻痺で徐々に運動機能を失って死亡する症状です。2歳前後で発症する確率が高く、遺伝性だったり肺炎ウイルスが原因ではないかと言われています。下半身から麻痺し始め、丸まれなくなります。治療方法はありません。我が家のハリネズミも1匹患いましたが麻痺が始まって1年ほどは生存していました |
白内障 | 目が白くにごり視界が悪くなる病気です。もともと目に頼らない生活をしているので白内障になっても問題ありません |
歯周病 | 歯茎が炎症をおこします。ひどくなると歯が抜け落ちます。食べ物が歯に詰まったままになっているのが主な原因です。定期的に硬いものを食べさせてあげましょう |
皮膚病 | 不潔な生活を送っていると皮膚がただれて針が抜け落ちます。菌が原因だったり、床材のアレルギーが原因である場合があります |
ダニ症 | 皮下に穴を掘るダニに寄生されます。ペットショップから持ち帰ったり、外の散歩で寄生されたりします。駆除するためには薬が必要なので動物病院へ相談しましょう。ダニ駆除の薬が犬猫用でありますが、素直に動物病院へ行ってください |
鼻炎 | 小さい個体がなりやすい、いわゆる風邪です。くしゃみと鼻水がでます。ケージ内の環境を見直し、暖かくして栄養が不足しないようにしてあげましょう。床材のアレルギーでくしゃみ・鼻水が出る場合もあります |
便秘 | カラカラのうんちを出すようになります。年をとると消化器官が弱くなり発生確率が高まります。運動・栄養・水分に問題がない場合は動物病院へ相談しましょう |
性器の炎症 | おしっこをした際に床材がくっついて詰まり炎症をおこしてしまう場合があります。固まる床材や、水分で固まる砂の使用を控えましょう。固まってしまっている場合はお風呂につけて洗い流しましょう |
腫瘍 | 目に見えて異様な大きさに一部の皮膚が肥大化します。腫瘍のできる箇所によっては健康に影響のない場合もありますが、食事がしにくくなったり運動が困難になったりします。動く時にこすれて出血し、そこから他の病気が感染することも。手術で摘出することになるため、年齢と体力を考慮して動物病院の先生と相談しましょう |
病気一覧
部位 | 症状 |
---|---|
歯 | 歯周病、歯根膿瘍、傷歯の抜けや折れ |
皮膚 | ダニ症、真菌症、アレルギー性皮膚炎、細菌性皮膚炎 |
耳 | 耳ダニ症、外耳炎 |
目 | 眼球突出、角膜潰瘍、結膜炎、白内障、緑内障 |
呼吸器 | 鼻炎、気管支炎、肺炎 |
消化器 | 下痢、緑色便、便秘、腸閉塞、脂肪肝 |
泌尿器 | 膀胱炎、尿石症、腎不全 |
生殖器 | 子宮の腫瘍、子宮蓄膿症、包皮炎 |
神経 | ふらつき症候群 |
外傷 | 骨折、噛み傷、絞扼(糸の絡まりなど)、深爪 |
そのた | 心筋症、関節炎、椎間板ヘルニア、低体温症、熱中症、腫瘍、ガン |
ハリネズミの健康に重要なこと
栄養を与え、水分を取らせ、快適な室温で安眠できる生活な環境を作ってあげることで加齢による病気以外は高確率で回避可能です。
飼い主としての自覚をもって適切な飼育を行っているだけでいつまでもハリネズミは元気に過ごしてくれます。