ハリネズミは非常に臆病で警戒心の強い生き物です。そのため人と暮らすことでストレスにさらされる場面が多くなります。騒音や光だけでなく気温にも繊細で常に適温を保たないと冬眠・夏眠してしまう点も注意しなければなりません。
ハリネズミは単体で生きる生物である
日本で普及しているヨツユビハリネズミは、自然界では1匹で暮らしています。他のハリネズミがいると食い殺す勢いで排除しようとするほどです。そのため自身以外の大きな生物である人間と暮らすということ自体がすでにストレスになっています。
特にショップで購入したハリネズミは自然界から連れてこられた場合もあるのでストレスが強く短命になる場合があります。人に育てられて産まれた子どもたちは人に馴れやすく長命になっていきます。
ハリネズミのストレスをいかに減らすか…それがハリネズミ飼育の極意でもあります。
音と匂いに敏感
ハリネズミの視力は非常に弱く、逆に聴覚と嗅覚が発達しています。そのため物音や強い匂いに対してストレスを感じやすくなっています。
匂いに関しては特殊な環境でなければそうそう気にしなくても良いですが、物音はハリネズミの暮らしやすさに直結しています。家に連れてきたばかりの頃は足音だけでも威嚇してきます。
冷蔵庫やテレビの近くにケージを置くのはやめておいたほうが良いですし、騒ぎやすい子供がいる家庭では静かにできる別室に隔離する必要が出てくるでしょう。
触られるのがそもそも嫌
人馴れしていても抱きかかえるともぞもぞと逃げようとします。臆病なハリネズミだと触れることすらできません。まれにとても人馴れする個体がいますが、その場合は自ら寄ってきて体を擦り付けたりよじ登ってきます。しかし殆どの場合は触られることを嫌うでしょう。その場合は極力触らないようにするのが一番です。徐々に馴れさせたい場合は一日に数分だけと決めて短時間のコミュニケーションだけで馴れさせていきましょう。
影に敏感
ハリネズミは目が悪いですが、まったく見えないわけではありません。明るさ自体は普通に感じているので人影などが急に現れるとビックリします。また、夜に行動する生き物なので一日中明るい部屋で過ごさせるのもやめましょう。飼い主が寝る時に電気を消せばハリネズミの方も生活リズムができてきます。
極端な温度に弱い
もとは年中暖かい場所に住んでいる生き物です。そのため寒かったり暑すぎると冬眠や夏眠を行い、最悪死に至ります。特に冬眠は低体温症で死ぬ手前の状態です。ハリネズミは常に一定の温度を保てるように飼育しなければなりません。
基本的にハリネズミが元気に過ごせる環境は下記のようになります。
項目 | 概要 |
---|---|
温度 | ケージ内が23〜32度(最適は26度前後) ※日本は湿度が高いので高温多湿に注意 |
湿度 | 40%まで |
ケージの中が上記の環境を保っていれば大丈夫です。例えばケージの中に小さな箱を入れておけば寒い時期でも多少暖かくなります。
エアコンに自動機能が付いているのであれば一日中つけていれば簡単に解決できます。ただし、月の電気代が約8,000円ほどかかります。我が家では人間も快適になるので一日中付けるようにしています。
ストレスをためるとどうなるか
ストレスは健康面に直結します。
- 餌を食べなくなる
- 毛が抜ける
- 噛み癖がつく
- 引っ掻いて自傷してしまう
- どこかへ逃げようとして暴れる
特に餌を食べなくなると病気にもなりやすくなるので非常にこまります。ある程度日数が経てば馴れてくることも多いですが、飼い始めのうちは慎重にストレスを与えない環境を考えてあげなければなりません。
初めて家に迎えた時は慎重に
個体によって性格が違いますが、始めにストレスを与えすぎてしまうと人間が怖くなりまったく馴れてくれないことになるかもしれません。物事を記憶する頭は持っているので怖い=近づかないになります。食べ物なんかも嫌い=二度と食べないなんてことも。